なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
手に持ったチューリップを眺めながら、楽しそうにそう語る彼。
happyness……。
『…幸福…ですか?』
『うん。そう。君、新入生ですよね?』
『あ…まぁ、はい…』
『じゃあ、ハイ。これ手に待って!』
『え!?』
なわば無理矢理手渡されたピンク色のチューリップ。
彼は、それを持つ私の手を自分の手で優しく包み込む。
温かい……。
『どうか、君の高校3年間が、とても幸せなものになりますように』
ピンク色のチューリップの花に、願いを込めるようにそう言うと、彼は伏せていた目を上げてニッとはにかむように笑った。
その笑顔は、私の心をドンピシャに撃ち抜いてきて……。
簡単だった。
恋に落ちるなんて、もの凄く簡単なことだった。
よく、体に電気が走るみたいに、とか。
頭の中で鐘がなる、なんて言うけど、そんな大袈裟なことじゃなくて、本当に自然に、まるですぐそこにあったみたいに、簡単に恋に落ちてしまった。
後になって彼が先生だと知った時は、さすがに驚いたけどね。
どんだけ童顔なのよ。
新手のドッキリかと思ったわ。
だけど、“禁断の恋!?”なんていうショックはなかった。