なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
「校内が汚れていれば、不快な気持ちになるし、校内が清潔に保たれていれば清々しい。
校内で美化委員が飾った花を見つけて穏やかな気持ちになったり、イベントごとの装飾でワクワクと胸が高鳴ったり、“環境”というのはとても人の心に影響します。だから僕は、美化委員の仕事は学校のメンテナンスなんかじゃなくて、生徒の心のメンテナンスだと思っているんです」
生徒の心のメンテナンス……か。
確かに先生と初めて出逢ったあの日、果たして3年間を平和に過ごせるのか不安でいっぱいだった。
だけど、先生が手入れをしていたあの花壇を見た時、一瞬そんな気持ちを忘れてしまったんだ。
先生は、毎年入学式が近くなると校門横のあの花壇を花でいっぱいにする。
先生に出逢ったあの日、そうだったみたいに。
きっとそれは、新入生を祝う為だと思ってた。
だけど本当は違う。
新入生の不安を少しでも和らげて、その気持ちを少しでもプラスな気持ちに変えてあげたいっていう先生の優しさなんだ。
あの日、私にピンクのチューリップをくれたみたいに。
3年間、幸せな高校生活を送れるようにと願いを込めて。
「だからみんなにも、“学校の為に美化委員の仕事をやってる”だなんてつまらなく思わないでほしいんです。誇りを持って活動に参加してください」