なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

ムカつく……。


なんでこいつに、こんなこと言われなきゃならないのよ。


「あんたに…何が分かんのよ…っ」


「みんな他に仕事あるって知ってて、けど面倒くせーからセンパイのそういうの利用してる。センパイ、本当は気付いてんだろ?」


長瀬のその言葉は、事を荒立てたくないからと、今まで見て見ぬ振りをしてきた私に深く突き刺さって……。


私に、嫌な記憶を呼び起こさせる。



“咲希ちゃんってさ……よねー!!”



胸の奥が、ズキンと疼き出す。



仕方ないじゃない。


もう私は、あんな思いなんてしたくない…。



「う…うるさいっ!!!!

あんたは、黙って言われた通りにしてればいいのよっ!!!!」


そう叫んで、すぐにハッとする。


「ご…ごめっ…」


「了解」


そう言うと長瀬は、カタンと椅子から立ち上がって、そのまま教室を出て行ってしまった。






いくらなんでも、あれはない。


あんなの完全にやつあたりじゃないか……。




中学の頃の私は、今の私とは正反対の性格だった。


何事にも積極的で快活。


目立つことは率先してやるタイプ。
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