なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「先輩の仕事を先に少しでも終わらせておいてあげたくて、私…私…苦手な早起きも頑張ってしてるってのに……朝来たら、もう既に全部終わってて……ううぅ」


「…え?全部?」


「そしたら…箒を持った長瀬がいて……!思わず襲いかかったら、箒の柄に顔をぶつけて……」


「散々ですよぉぉぉ!!」とまた泣き出す山下さんをよそに、ゆっくりと後ろを顧みれば、素知らぬ顔で大あくびをしている長瀬の姿。


まさか……こいつが全部終わらせたっていうの?


少なくとも1時間は時間を要する作業なはず。


山下さんが来る時にはもう終わっていたってことは、6時くらいには登校していたことになる。


長瀬が……?


何で……?


朝、まともな時間に登校するとこすら見たことない長瀬が?


まさか……ね?



ほら!あれじゃない?


かなり手抜きされてて、やったフリをしてるだけとか!


そう自分に言い聞かせてみたものの、既に私は気付いていた。


いつも朝来ると、エントランスに散らばっているはずの枯葉やゴミは一切なくて、

代わりに道の脇にゴミ袋に詰められた枯葉やゴミが、丁寧に封までされている。
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