なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
4☆晴れのち雨、そして晴れ
「昨日の“きす”の天ぷら美味かったなー」
–––––ゴッ!
「……何やってんのよ?咲希」
「……なんでもない」
その日の帰り道、久々に茉莉と下校することになった。
なぜなら今日は、放課後の美化委員の仕事がなかったから。
放課後の美化委員の仕事がない日なんて、今まで数えるほどしかなかった。
だって、冬のこの時期、毎日エントランスは枯葉だらけになるし、花壇の土は空気が乾燥しているせいでカラカラになる。
中庭は1日もたてばゴミが散乱しているし……そう。とにかく、やることがない放課後なんてあるはずがないわけ。
それなのに、何で今日は帰宅してるのかって?
「咲希さ。長瀬となんかあったでしょ?」
–––––バァンッ!
「電柱の次は看板に突撃ねぇ…へぇ。咲希にしては、ずいぶん動揺してるじゃな〜い?」
「〜〜っっ」
顔を押さえ悶絶する私に、茉莉は意味深な笑みを向けてくる。
あの忌わしい事件(キスとは言いたくない)の一件から、長瀬の姿は見ていない。