なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
月に一度の委員会の集まりを除けば、今日みたいな活動は自由参加。
自由参加と言われれば、こんな地味な仕事をやりたがる物好きは私達くらいなものだ。
「いいのよ。変に事を荒立てなくて。人手が足りないわけじゃないし。その分、私が仕事をこなせばいいだけの事。私は好きでやってるんだしね。山下さんと金城くんも無理はしないでね」
「花枝せんぱぁぁぁーーい!山下、どこまでもついていきますぅぅぅーー!!」
「ちょ。山下さん汚れるっ」
「俺は、受験勉強の気晴らしに来てるだけだから気にすんな」
泥だらけで抱きついてくる山下さんの首根っこを掴みながら、金城くんがそう言ってくれる。
いつも一緒に手伝ってくれている2人には悪いけど、
私は、残りわずかの高校生活。
変に事を荒立てて、平和な日々を壊したくはないのだ。
そんな事になるくらいなら、自分が全ての仕事を引き受けた方がまし。
「あー。でも、最近ひとつだけ困った事があって」
私は、バケツの中から球根をひとつ手に取る。
これは黄色のチューリップの球根だ。
「校内でガムを吐き捨てるバカがいるみたいで、掃除のたびにヘラで擦らなきゃいけなくて。あれはかなり時間がかかって腹が立つ」