下手くそな恋を泣きながら


「さっき先生・・・買い物から帰った時に、私がいて少し・・・残念そうにしてましたよね?

あれは・・・なんでですか?」

聞くべきじゃないと分かっていながら

この口は私の理性とは裏腹に動く。

本当に私の気持ちに気づいていない?

先生は本当に私を意識してない?

惨めで

どうしようもなくて

惨めな気持ちをこじらせるだけだと知ってて

この口は先生を困らせることを口走る。


すると、先生は「バレちゃってたか」なんて軽く言ってみせた。


「それはそう・・・軽く罪悪感かな」

苦笑う先生の瞳に確かに私が映ってるはずなのに

なぜだか私の存在が曇っているように、先生の意識はどこか別の場所にあるようで、堪らなく切なくなる。


お願いだから私を見てほしいのに

いつもこの願いは叶わない。

叶えさせてくれない。


「私がもし、ものすごくわがままなことを言ったら・・・どうします?」

試すように聞いてみた。

教え子思いの先生が返してくれる答えを知ってる気がしたから・・・
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