下手くそな恋を泣きながら


すると、先生はやっぱり嬉しそうな顔をしながら

「言ってごらん。」と優しく笑った。


「もしも私が・・・先生のこと・・・」そこまで言った途端に、突然迷いが見えた。


先生を楽しませるはずだったのに。とか、これ以上先生を困らせたら・・・とか

その優しい笑顔を見ているうちに

惨めな気持ちより

先生を困らせようとしている我が儘でな情けないこんな自分に疑問を持ってしまった。

「俺のこと・・・なに?」

きょとんとした表情のまま私の言葉を待つ先生に・・・

今度は私が俯いたまま何も言えなくなっていた。

察して欲しい気持ちと

このまま、何事もなかったように話を逸らしたい気持ちが葛藤する。


「彩葉・・・?」

駄目だと分かっているのに

もう

涙を堪えきれなくなって

その滴がこぼれ落ちた時


ドンドンドンッッ!!

突然、コテージのドアを強く叩く音がして、二人同時に玄関へ視線を移した。


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