下手くそな恋を泣きながら
「はいはい。ありがとね。
俺の教え子に手をだすなよー。」なんて、冗談混じりの声と裏腹に
少し淋し気な表情で手のひらをひらひらさせた。
私はもう少し二人でいられたらさっきの言葉の意味が分かるような気がして、足が進まないのに「早く帰るぞ」と強引に手を引かれて、先生の姿を何度も振り返った。
「また、会えますか?」
最後に投げ掛けた言葉
「俺はいつでも学校にいるよ」と手をふる。
ドアが閉められ、私はコテージの前に停められてた部長の車に押し込まれた。
運転席に乗り込んだ部長は面倒事に付き合わされたせいだろう。不機嫌な表情で何も言わずに車を走らせる。
嫌な空気が漂う車内。
一人、先生と交わした言葉の数々を頭の中で思い出していた。
でもきっと・・・
あの時部長が来てくれなければ私はきっと自分のずるい部分を先生にさらけだしていたかもしれない。
あの時、私が言いかけた言葉。
「好き」の気持ちは
伝えるべきではないのに・・・
その姿を前にすると、感情が理性を飛び越してしまいそうになる。
少しだけ時間がかかって
″ようやく。″と言いたいほど突然溢れだした涙。
朝まで先生でいられる自信がない。の言葉にどんな意味が込められてたのか知りたい反面
部長が来てくれた安心感が・・・
あったのは確かだった。
「部長・・・送別会は・・・どうしたんですか?」
ようやく声を振り絞ると
殆ど車の通りのない路肩に車を停めた部長が
ため息をひとつ、ついた。