下手くそな恋を泣きながら
密室の優しさ
手渡された風船を抱えながら
なんでこんなことになったんだろうと考えても答えなんかでるわけもない。
「ふう・・・」ため息をつく部長の横で私は話題を探していた。
「予定がキャンセルになったってことは、このまま帰られるんですか?」
「いや、ビジネスホテルで一泊したあとは友人と会う約束をしてるから
自宅に帰るのはそのあとかな。
森山は?」
「私も・・・今日と明日観光したら、明日の夕方には電車に乗ります。」
「そっか。どこを見て回る予定?」
「プラン無しです。」
笑う私を見て、くすくす笑う部長。
「森山って意外と適当なんだな。」
「い、意外ですか?けっこうよく言われるんですけど」
会社では見せない部長の笑顔を見て
少しだけ砕けた雰囲気に安堵すると、いつの間にか楽しくお喋りをしている私達がいた。