下手くそな恋を泣きながら


代わりは嫌なのに・・・

代わりなんて嫌なのに・・・


気持ちと反して

鼓動が早くなる

落ち着きなく

とくんとくん、体中を響かせてる。



同時に二人を好きになるなんてできやしないはずなのに

まるで・・・

私は部長に恋をしているかのように

この腕の中で幸せを感じてる。


理屈で恋ができたなら傷つかないのに

まるで

傷つくために恋に落ちるように

部長の腕のなかで

痛みながら

幸せを感じてる。



「お前があいつを好きでも構わない。

だけど、誰にもお前を渡したくない。


彩葉・・・」

初めて名前を呼ばれて視線が重なった。

二人して

泣き出してしまいそうな顔をしてる。

私と部長は似たもの同士。

だから

出会ったのかもしれない。


あの日

あの風船が導いたのは

部長との出会いだったのかもしれないと・・・

不意に感じた。


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