下手くそな恋を泣きながら
「先生⁉彩葉です。
今、どこにいるんですか⁉」
「・・・なんでそんなこと知りたがるの?」
暗い声。
太陽のようにいつも明るく、私を照らしてくれるその眩しい光が
今にも闇に呑み込まれてしまいそうなほど
弱々しくて・・・
恐さを感じた。
「お願い先生・・・教えて下さい。」
「ごめん。悪いけど・・・今は先生なんて呼ばれたくない。」
「じゃあ呼ばないから。
だからお願いっ、どこにいるのか教えてっ!!」
私の知らない先生。
私を拒絶する先生。
あの日、先生に何もしてあげれなかったことが、こんなにも後悔になるなんて思わなかった。
先生が消えてしまいそうで恐かった。
必死に何度も居場所を尋ねると、しつこいと思われたか、観念してくれたのか
先生は町名を教えてくれた。
「今行くから・・・だから待っていて!!」
返事も聞かずにハンドバッグだけ持って家を飛び出しタクシーに乗り込んだ。
町名は聞いた事はあった。
ここからならそう遠くない。
電車の中
隣に座る中年男性の新聞が目に留まる。
見だし大きくそこに書かれた文字
「中1男子苛めを苦に自殺未遂」
まさかと思った。
先生とは関係ないであって欲しい。
そう思いながらも
手が震える。
確かめるために携帯で検索してみると
そこに書かれてあるのは、先生の勤める中学校の名前だった。