下手くそな恋を泣きながら
それはもう二日も前の記事だった。
中学1年生男子生徒苛めを苦にした遺書を残し自殺を図るが一命をとりとめるも意識不明。
未だ意識は回復せず。
校長は記者会見にて謝罪表明。
簡単に書かれた記事。
春坂先生なら苛めを黙認していたとは思えない。
私の知ってる先生は、いつも必ず生徒に寄り添ってくれる。
そんな先生だ。
電車で約1時間。
駅に着いた私は直ぐにもう一度春坂先生に電話をかけようと携帯を鳴らした。
すると、先程とは違って直ぐに電話にでてくれた先生は、弱々しくも居場所を教えてくれた。
土地勘がなくても恐くなかった。
だってそこには春坂先生がいる。
私に助けを求めてるかもしれない先生がいるなら、知らない町も恐くなんかない。
本当に恐いのは
今、その手を掴み損なうことなんだ。
後悔はしたくない。
私は
先生を助けたい。
先生が好きだから。
先生を尊敬してるから。
ずっと
ずっと憧れていた。
私の中の太陽だから。
タクシーの中、何を考えていたかもよく覚えていない。
何も考えていなかったかもわからない。