下手くそな恋を泣きながら

公園の入り口まで来ると、砂場とぶらんこしかない、私の部屋よりも狭いだろう小さな公園のブランコに

肩を落とし項垂れるような座り込んでいる先生がいた。

私には気づいてない。


「彩葉、着きましたよ。」

私の声に気づいた先生が、咄嗟に顔を上げた。

泣いていたのだろうか赤く腫れぼったいその目。


電話を切って


笑顔しかあげれない私は精一杯笑った。

「まさか・・・本当にこんなとこまで来るなんて思わなかった。


・・・仕事は?」

「良いタイミングで夏休み中です。

本当、こんなとこまで来ちゃった自分にビックリです。」


ゆっくり歩み寄り

先生の前までくると、しゃがみこんで、その顔を覗きこんだ。


「ストーカーとか思ってる?」

苦笑いを浮かべる私に「まさか。でも、来るとは思わなかった」と涙を浮かべた。


「先生のピンチなら・・・どこへでも、飛んでいきますよ。

だって

もしも逆の立場なら・・・絶対にそうしてくれたでしょ?」

首を傾げて見せると

「参ったな・・・」と呟き

伸ばされた手は

私を弱々しく抱き締めた。




やっと


本当の先生に・・・

出会えた気がした。



< 128 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop