下手くそな恋を泣きながら
公園の入り口まで来ると、砂場とぶらんこしかない、私の部屋よりも狭いだろう小さな公園のブランコに
肩を落とし項垂れるような座り込んでいる先生がいた。
私には気づいてない。
「彩葉、着きましたよ。」
私の声に気づいた先生が、咄嗟に顔を上げた。
泣いていたのだろうか赤く腫れぼったいその目。
電話を切って
笑顔しかあげれない私は精一杯笑った。
「まさか・・・本当にこんなとこまで来るなんて思わなかった。
・・・仕事は?」
「良いタイミングで夏休み中です。
本当、こんなとこまで来ちゃった自分にビックリです。」
ゆっくり歩み寄り
先生の前までくると、しゃがみこんで、その顔を覗きこんだ。
「ストーカーとか思ってる?」
苦笑いを浮かべる私に「まさか。でも、来るとは思わなかった」と涙を浮かべた。
「先生のピンチなら・・・どこへでも、飛んでいきますよ。
だって
もしも逆の立場なら・・・絶対にそうしてくれたでしょ?」
首を傾げて見せると
「参ったな・・・」と呟き
伸ばされた手は
私を弱々しく抱き締めた。
やっと
本当の先生に・・・
出会えた気がした。