下手くそな恋を泣きながら


少しの緊張と、気まずさを感じながらも、お言葉に甘えて後部座席に乗り込む。


助手席に座り、穏やかな笑顔で先生の横顔を見つめるその眼差し。


最初から

私の付け入る隙なんかなかったんだ・・・

もっともっと昔に知っていたら

こんなに長く片想いなんかしなくて済んだのに・・・


それでも


この長い片想い

後悔はないのかもしれない。


だって

ちゃんと自分で決めることができた。

無理に忘れようとしなくて良かった。

先生を好きになって・・・良かった。



車が走り出して間もなく

急な疲れをどっと感じて

きまずいとか、緊張とか言ってた割に

睡魔に襲われる自覚もなく眠りについてしまった。


今日一日

最悪から始まって最高で終わる。

こんなに忙しい日

滅多にない。



抱き締めた先生の温もりを


夢の中でまで感じていた気がする。


そうじゃなかったら

こんなに清々しい朝なんて迎えれるわけないんだから・・・


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