下手くそな恋を泣きながら
「森山、お前おかしいぞ?・・・どうかしたのか?」
その言葉を待っていた。
聞いて欲しかった。
・・・部長に。
目をみる勇気がなくて頭から被さるバスタオルで顔を隠したまま・・・そのまま・・・報告した。
「昨日
先生にさよならしたんです。」
「・・・えっ?」
「気持ちは伝えてません。
伝えなくても良くなったんです。」
部長からの返事はこない。
どう話せば良いのか分からなくて
言葉に詰まると
不意にバスタオルの上から抱き締められる。
「あんなに春坂のこと好きだって言ってただろ。
なのに何で急に・・・?」
「自分の気持ち・・・知っちゃったんです。
先生のことは好き。
それは今も変わらないけれど
いつの間にか
好きの形が変わっていたことに・・・自分でも気づいてなかった。
私・・・先生を
尊敬してる。
いつの間にか・・・ラブとは・・・ちょっと違ってしまっていた。」
それに
あの奥さんにも敵わない。
けれど
辛いわけじゃない。
本当に
清々しい気持ちに嘘はない。