下手くそな恋を泣きながら
見つめた先には
春坂先生の姿が確かにそこにある。
夢かもしれない
「まさか、こんな所で彩葉に会えるなんて思わなかったよ。元気だったか?」
信じられない気持ちで頷くと
「転任してらっしゃったんですね」
ようやく振り絞って出た言葉はそんなものだった。
「結婚した翌年だよ。
偶然にしても嬉しいもんだな。
彩葉はなんでこんなとこに?」
にこやかな笑顔は変わらない。
いや、昔と何も変わらない先生の姿。
「つい先日・・・先生の夢を見て。
それで・・・
連休に予定もなくて一人旅に来たら・・・
そしたら
なぜか会社の上司と鉢合せて・・・
観光して
それで・・・
上司についてきたら
春坂先生がいて・・・」
戸惑いを隠せないまま
言葉が詰まる。
私の言葉に校庭に視線を移した先生は、また、珍しいものを見つけたように笑った。
「槙原か。あいつ来てたんだ。
何?
今、彩葉、槙原んとこで働いてるのか?」
「部長と・・・知り合いなんですか?」
「ああ。小、中学校と同級生。
すごいな。
こんな風に繋がりがあるんだ。」
そんな風に隠すこともなく喜ぶ先生の姿は本当に何一つ、昔と変わらなくて