下手くそな恋を泣きながら


「俺の可愛い教え子をいじめるなよ」

可愛い。

自分に都合の良い言葉だけやけに大きく聞こえてしまうのあまりにも勝手だろうか・・・?


「それより槙原、お前、あの人放ったらかして彩葉とデートなんかして後で恨まれないのか?」

冗談っぽく笑う先生に

「デートって・・・槙原は子供みたいなもんだろ?」


子供っ‼?


私、もう25歳なんですけど!!

例え12歳離れていても私は同じ舞台に立ってるつもりなんですけど!


それとも・・・

例え私がどれほど歳を重ねても私が先生の歳に追い付けないのと同じように

先生から見た私はいつまでも子供なんだろうか・・・?


しけった導火線じゃあ意味がなかったらしい。


さっきまで爆発しそうなほど震えていた心が・・・


ただ、虚しさだけを残して燻っている。


もやもやした気持ちで二人を見つめていると、それに気付いた槙原部長が、先生との話もそこそこに「帰るぞ」と声をかけてきた。


もう少しだけ先生の側にいたい気持ちと

今、諦めれば明日には忘れられる。

そんな思いで先生の顔を見つめた。


「またいつでも遊びにおいで」


先生は結婚しているのに

別れ際のその言葉にときめく心。

部長に引きずられるように学校を後にした。




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