下手くそな恋を泣きながら
「なんか・・・ごめんなさい。」頭を下げると、部長は肩を震わせて笑っていた。
「部長・・・?」
首を傾げながらその顔を覗きこむと、私の視線に気付いたのか笑いを堪えるように口元を片手で隠しながらそっぽを向く。
「こんな・・・
作り話のようなことばかり・・・
森山といると、あり得ないことばかり起きて面白いのな」
喋り終わるのと同時に爆笑しながらベッドに倒れこむ部長を前に、私は馬鹿にされてるような、そうでもないような微妙な気分で今日、一日の出来事を回想していた。
「たまたまですよ。なぜかたまたま重なっただけで・・・普段は何一つ変わらない毎日を過ごしています」
最早、言い訳にしか聞こえないだろうけれど、毎日こんなこと起こっていたらこの身が保つわけない。
私自身、混乱しっぱなしの一日だ。
気がすんだのか、笑い終えた部長が体を起こして私の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「今日一日で随分と森山の印象が変わったよ。」
「それは・・・どういう意味でしょうか・・・?」
馬鹿にされっぱなしの私は最早、上司に向かって投げやりに聞いていた。
「勿論、良い意味だよ。」
「それなら良いですけど・・・私って、部長達の年代から見たらそんなに子供ですか?」
その問いに、不思議そうな顔をした部長は少し考えこんだあとに口を開いた。
「俺を年寄扱いすんなよ。っつても、森山から見たら37はおじさんかぁ・・・」
あからさまに肩を落としてちらりと私を横目でみる。