下手くそな恋を泣きながら


もしかして拗ねてしまったのだろうか

私は慌てて誤解を解こうとした。


「そ、そうではなくて!

部長が春坂先生と話してた時に・・・」

私が言い終わる前に勘づいたのか「ああ・・・」と呟くと「まあ、ある意味子供だよな。」と、気を使うこともなく言ってのける。


「なんでですか?今の時代、10位の歳の差婚だって珍しくないですよ?」


「それはつまり・・・恋愛対象の相手があいつだから、俺達世代に子供扱いされたくないってことなのかな?」


またしても

私の心の中を見透かして、余裕の笑顔を浮かべる。

「別に私は・・・」

その後に続く言葉が見当たらない。

「私はもう8年も前に春坂先生のことは諦めましたから・・・」

「・・・諦めたって顔はしてなかったけどな?」

「それは・・・こんな所でまさか再会するなんて思ってなかったから動揺した・・・だけです。」

「再会して気持ちが再熱したんじゃなくて?」


どこまでも私の揚げ足をとろうとする部長に段々、腹がたってきたのは

部長の言葉が全て的を射ていたからだ。



「どうして・・・意地悪ばかり言うんですか・・・」


「部下が過ちを起こさないためだろ?」


当たり前の事だと言わんばかりのその表情。



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