下手くそな恋を泣きながら
たった一人。
春坂先生ただ一人を振り向かせたくて・・・
市内で一番レベルの高い高校に入学することができたんだ。
努力・・・
たくさんしたんだ。
お化粧も勉強したし
少ない小遣いの中から買うのは、いつも女子力磨きのための雑誌。
先生のことだけを考えて
考えない時間はなかったかもしれない。
「先生が、頭を撫でてくれるの・・・私だけ特別かもって期待してた。」
どうしようもないくらい先生が好き。
先生の口から「俺、とうとう結婚することになったんだ。
式は来年だ。
忙しくなかったら俺の幸せ祝いに来てくれよ」
あの言葉聞くまでの数年が
毎日春だった。
私の周りにだけ
いつもぴんく色の桜の花が咲いてるように勘違いするほど
先生でいっぱいだった。
「好きだったんだ。
今も大好き。
結婚してるの知ってるけど
お祝いしたけれど・・・
でも、どうしても先生が好き。
忘れられないよ。
忘れたくなんかないよ。
たった一度でいい。
長い人生のたった一時間・・・
ううん、10分でも構わないから
私だけを見てほしい。
先生を独り占めしたい。」
段々と涙がこぼれ落ちてきたのは
気持ちが溢れだしたせいもあるかもしれない。