下手くそな恋を泣きながら
臆病な芝桜と優しい貴方
翌日、布団の中からなかなか出れずにぼんやりと今後の事を考えていた。
先生に気持ちを伝えるべきか
一生、片想いのままこの気持ちを秘めて生きていくか。
どちらも究極の選択で
でも
どうするべきかの答えも欲しい。
部長は相手の都合を考えろと言った。
佳苗先輩は相手の都合なんか考えるなと言った。
どちらも正しいけれど、矛盾してる。
恋は矛盾してる。
私が気持ちを伝えたら、本当に先生は私を嫌いになるんだろうか・・・?
どうして恋愛には正しい答えがないのか。
私が誰かを傷つけるような恋をしているせいなのか・・・
春坂先生の奥さんはとても綺麗な人だったのを覚えている・・・。
一人で悶々と考え込んでいると携帯の着信音が鳴った。
相手は・・・
部長?
「もしもし・・・?」
気乗りしないまま携帯を手に取る。
『なんだその暗い声・・・』
耳元で聞こえる部長の声は言葉とは裏腹に、やけに優しかった。
用事があると、呼び出され、出掛けたくない気分だったけど私は誘われるがままに約束の場所へと向かった。
近所の繁華街だ。
私より先に着いていた部長の車に乗り込むと行き先も言わずに車を走らせる。