下手くそな恋を泣きながら
「芝桜は色によって花言葉も違うんだぞ」
「部長が花言葉なんて柄じゃないですね。教えて下さいよ。
例えばほら、私はこの薄い淡いピンク色の花が好きです。」
「・・・そうだね。今の森山にはピッタリだな。」
「本当ですか?で、花言葉はっ⁉」
私が喜ぶのと反対に、部長は少し悲しげな表情で笑った。
その笑顔がいつの日にか見せた、あのときの笑顔と重なる、
「部長・・・?」
「花言葉は・・・自分で調べなさい」
そう言ったあと
「俺はきっと濃いぴんく辺りなのかな。」と、苦笑いをした。
花言葉自体を知らない私には部長の表情の理由を知ることもできない。
「せっかくこんな綺麗な花なんですから楽しみましょう?」
強引に、部長の腕をとり、引っ張ると「それもそうだな。」と、やっと笑ってくれる。
きっと、昨日の先生との会話で凹んでる私を励ますために連れてきてくれたのかもしれない。
部長には、ちゃんと幸せにしないといけない人がいるというのに・・・
私なんかを構ってくれちゃって・・・
お人好しにもほどがある。
「佳苗先輩のこともそうですけど、部長って誰にでも優しいですよね?」
「えっ?
俺、あの娘になんかしてあげたっけ?」
わざととぼけてるのか・・・
本気で自覚がないのか・・・
案外モテるタイプかもしれない。