下手くそな恋を泣きながら
「不調の先輩をお姫様抱っこしてたじゃないですか?」
「御姫様抱っこって・・・歩けないなら仕方ないだろ医務室から担架運ぶより早い。」
「ああいうの、女子的にはきゅんきゅんするんですよ?」
「どうせ、顔が好みの男に対してだけだろ?そうじゃなかったら直ぐに、セクハラ扱いなんだろ?」
多少は・・・正解ですが。
女子心に対しては意外と現実的で冷たい部分があるように感じる。
そんな話をしながら歩いていたせいか、話に気をとられ、段差を踏み外してしまった私を、転ばないようにパッと自分に引き寄せる。
「足、挫かなかったか?」
「だ、大丈夫です・・・」
「本当、危なっかしいやつだな」
そう言うなり、ひょいと私を抱き抱えたから
ビックリしてしまって、周りを見渡した。
「ちょっ、下ろしてくださいよ。恥ずかしい!!」
「舗装されてない下り坂だからな。森山なら直ぐ転がり落ちそうで危なっかしい」
「大丈夫ですからっ!!周りの人に見られたらどうするんですかっっ!!」
「どうせ、お前が見られたら困る相手は春坂くらいだろ?」
それはそうだけど、でも・・・
私を抱き抱えながら軽々と、下り坂を下りると、すぐそこにあったベンチに私を下ろす。
不覚にもドキドキしてしまった私は、恥ずかしくて部長の顔を見れなかった。