下手くそな恋を泣きながら
「飲み物でも買ってくるから待ってろ。」
すぐ先に自販機を見つけた部長は、私を置いてすたすた歩き出す。
私は、ふと、芝桜の花言葉の意味が気になって携帯を手にとった。
部長の言う通り、芝桜にはたくさんの花言葉があるらしい。
私は気に入った淡いぴんく色の花言葉を見つけて
直ぐに
携帯をしまい
目の前に広がるぴんく色の世界を前に瞼を伏せた。
淡いぴんく色の芝桜の花言葉は・・・「臆病な心」部長の言う通り、私にピッタリな言葉かもしれない。
こんなに先生が好きなのに
私の心の中一面に咲き乱れる淡いぴんく色の芝桜。
まるで、今、私の目の前を映し出している世界は私の心を鏡のように映しているようだ。
恋に染められ色づきながらも
臆病がゆえに、伝えられない。
やっぱり、部長は私を最初からここに連れてくるつもりだったのかもしれない。
・・・現実を見せるために。
「これで良かったか?」
私の好きな銘柄の缶コーヒーを頷きながら受けとる。
「前に部長は私と部長を似た者同士と言いましたよね?
どこがですか・・・?」
黙りこんだまま、私のとなりに座る。
「部長も・・・誰かに対して臆病なんですか?」
私の質問に困ったように笑う。