下手くそな恋を泣きながら


「好きな相手には臆病になるもんだろ・・・?」


でも・・・

話を聞いてる限り、部長とお相手はちゃんと相思相愛のように思える。


私のパターンとは違う。


部長は、私なんかと比べたら何倍も恵まれた恋をしていると思う。

何も知らないけれど・・・。



「知り合いが言ってましたよ。

相手の都合を考えて好きになったんじゃないんだから、ちゃんと自分の気持ちと向き合わなきゃいけないと。」多少、補足はしているけれど・・・佳苗先輩の言葉を思い出す。



「それを聞いて森山はどうしようと思ったんだ?」


「まだ、悩んでますが・・・部長は私とはまたちがうんですから。

お相手を放ったらかして私なんかを構っていたらダメですよ?」

私の言葉に肩を落としてため息を一つつく。

その態度があまりにも面倒臭そうに見えて、余計なお節介を焼いて、気分を悪くさせてしまったのかと「私は構ってもらえて嬉しいですけどね」慌てて付け加えた。


「本当に、嬉しいと思ってるのか?」

訝しげな眼差し。


「当たり前じゃないですか!あの日も、昨日も・・・今だって部長がいてくれたから、私・・・一人で泣かないですんでるんです」


そう、辛いときにはいつも部長が側にいる。


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