下手くそな恋を泣きながら
上層部の方に何か言われたのか普段だったら流してしまいそうな細かな注意から始まった朝礼に、やけにぴりぴりした物を感じさせられ氷のように冷たい空気。
張り詰めた緊張感を私を初め、皆感じていたに違いない。
それだけ部長の機嫌が悪いのは顔を見ただけで分かる。
いつもだったら長くても10分で終わる朝礼がかれこれ30分経った頃
「森山っ!」怒鳴り付けるように名前を呼ばれた私は反射的に姿勢をより一層、整えた。
「お前は普段から指摘されてることがなかなか直らないな。
お前も後輩を持つようになったんだ。一度注意されたことを何度も誤るな。これを機に少し精進しろ」
そう言うなり大量の書類を私の机に置く部長。
「普段は5人でやる仕事1週間分だが、他の奴らにはやってもらいたいことがあるからな。
週明けには全て終わらせろよ」
そう言うと、重たい空気の朝礼は終り、皆が早々に仕事を開始するなか、机の上で今にも崩れ落ちていきそうな量の書類を前に青ざめる私。
「あんた相当、部長に嫌われてるわね」
隣に座る佳苗先輩の心無い一言に更なる痛恨のダメージを負わされながら、山のてっぺんの書類を一枚手に取る。
今までのことを考えたら部長に嫌われてしまう要素がありすぎてなんとも言えない。
でも週明けまで土日挟んでも4日、私一人でできる気がしない。
春坂先生とようやく繋がり初めた矢先
私に待っていたのは地獄への一本道だった。