下手くそな恋を泣きながら
水曜日は黙々仕事を初め、一人、また一人と退社していくなか、気づけば部長もいなく、日付が変わり一人、また一人と出勤してくる。
木曜日は悲願の眼差しで皆に見守られるなか、一時間の昼休憩は食事を摂ることも忘れて爆睡。
化粧直しも意味なく目の下にくっきりできたクマ。
終バスぎりぎり乗り込んで自宅に持ち込んだ仕事。
いつの間にか寝てしまい、5分遅刻で部長に雷落とされた金曜の朝礼。
まだ半分も片付いてない仕事を、なんとか終わらせたい昼休憩後、初めて佳苗先輩が差し入れをくれるという恩恵に、佳苗先輩が仏様に見えた退社時刻30分前。
この数日、携帯が鳴っても確認できないほどの忙しさ。
定時に帰宅していく皆の後姿。
段々と泣きたい気持ちが押し寄せる。
週明けに間に合いそうもない不安と、非現実的な量の仕事を虐めのように私一人に押し付けた部長への腹立たしさと
春坂先生と連絡をとりたい淋しさと
いろんな気持ちが込み上げてきて
涙が滲みそうになる。
「山森、おい、山森起きろ」
いつの間にか突っ伏していた私の肩を揺すったのは部長だった・・・
思わず目を逸らしてしまう。
「全然はかどってないじゃないか。この数日、何をしてた?」
部長の冷たい言葉に唇を噛み締める。
何してたって、仕事以外に私が何かしてたように見えるのだろうか・・・。