下手くそな恋を泣きながら
「・・・どうせ携帯ばっかりいじってたんだろ?」
部長の心無い一言に、完全に堪忍袋の緒が切れてしまった私は疲れと眠気のせいもあり、頭も全然働かない状態で言い返していた。
「心外ですっ!この量の仕事を押し付けられた私に仕事以外に時間を割く暇があるとでも?
毎晩遅くまで残業。家にも仕事を持ち帰って、私が頑張ってる姿が部長の目に見えていなかったのなら、あなたの目は節穴ですね!!」
ムキになって睨み付けた私を、部長はただ、無表情に見つめていた。
「実際、期限が短すぎるのよ・・・。
吐き捨てるように最後の言葉を呟いた私は、再び眠たい目を擦りながら仕事を開始する。
私の横で、暫くの間黙りこみ、腕を組んで偉そうに私の仕事の様子を見ていた部長が、突然、私のてからマウスを奪う。
「お前のやり方は実に効率が悪い。」
そう言い、私を椅子から退けさせ、私の机を占拠し、私の数倍の速度で仕事を片付けていく。
「お前は基本がなってないんだ。よく見て覚えろ。」
淡々と仕事を片付けていく部長の指先。
猛スピードで打ち込まれていくパソコン画面に浮かぶ文字を目で追うのがやっとで、部長の仕事さばきはまるで、時間を早送りしているようにも感じた。
「物によって使いわけが下手くそなんだよ。お前は。」
最早、どんなことを言われても言い返せない私がそこにはいた。