下手くそな恋を泣きながら


「勘違い・・・したらダメ・・・ですか?」


迫るように逃げる部長の視線を捕まえる。


困ったように髪を掻きあげる部長は少し困ったように、それでも一瞬だけ柔らかな表情を見せた。


その一瞬の表情に懸けてみたい。

無意識にそう思った瞬間、ダメもとで聞いてみた。


「わざわざ部長の家で仕事ということはっ・・・!!」

断られるかもしれない緊張感から、無意識に口調が強くなってしまう。


「へ、変な勘違いは・・・するなよ?」

「仕事を手伝ってもらえるんでしょうかっっ!?」

部長の言葉を遮り、思いっきり図々しい言葉を口にした。

それほど、切羽詰まった現状だったんだ。

だけど、怒られるのも恐いから、瞼をギュッと閉じて拳を握りしめて、物凄い緊張しながら部長の返答を待っていたのに・・・?

聞こえてきたのは?とっても間の抜けたような「はっ?」の一言だった・・・。

思いもよらない緊張感のない声に、ギュッと閉じていた瞼を開けると、部長はなんとも言えない間の抜けた表情から段々と、頬を赤くさせた。



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