下手くそな恋を泣きながら



テーブルに向かいに座りあって、お互い静かに仕事を進めている。


画面に集中しているはずなのに、視界の隅に見える部長の姿。


やけに気になる。

無意識に

息を止めてしまう私がいた。



一体・・・どうしてしまったというのだろうか。


部長はいつもと変わらない様子で黙々と仕事をしているけれど


気持ちが徐々に落ち着いてきた頃

ようやく、今、私がいるこの場所は部長のテリトリーの中だと改めて感じて

部長の物ばかりに囲まれてるこの状況

いつもと違ったこの環境がもしかしたら、私をおかしくしてしまってるのかもしれないと・・・


そう考えることにして、キーボードを打つ手を止めて、わざとらしく背伸びをした。


「少し休憩するか?」

私をちらりとだけ見た部長が、立ちあがりキッチンに珈琲を淹れにいく。

手を

払いのけてしまったことで、嫌な思いをさせてしまっただろうか・・・

それ以上私を見ようともしない部長の背中を目で追いかけながら

気持ちが沈む。





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