下手くそな恋を泣きながら
「部長も・・・いつかは結婚しちゃうんですか?」
淋しい。
単なるわがままだ。
分かってる。
分かってるのに、皆に置いていかれてしまうような孤独に今は勝てそうになかった。
突然の焦りなのか・・・
結婚して
誰かのものになってしまった友達も
春坂先生も
独身の頃とは違う。
近寄りがたい存在になっていった。
春坂先生は特別そうだったけど・・・
部長まで
そんな風になってしまうのだろうか?
結婚してしまったらこんな風に馬鹿で情けない部下なんな構うわけがない。
そんな事が頭の中によぎった途端、寂しくて
寂しくて・・・
涙がこみあげてくる。
「いつかは・・・って、俺も本来なら身を固めてて良い年齢だしな・・・」
「それはつまり、・・・もっと近い未来にそんな予定があるってことですか?」
春坂先生に、結婚の報告を受けた
あの瞬間にも似たような痛みが胸を締め付ける。
「・・・嫌味かどうか知らんがそんな予定はない。」
少し眉を寄せて、ため息混じりに呟く。
恋人がいるくせにそんないい方・・・
もやもやした気持ちが胸を更に締め付ける。