下手くそな恋を泣きながら
「森山・・・お前、本当に今日はなんだかおかしいぞ?」
分かってる。
ただの部下に余計な詮索をされたくないことくらい。
分かってる。
自分でもこんな訳の分からない自分が嫌だ。
関係ないと言いながらまるで、独占欲の塊みたいに部長を一人占めしたいような・・・
こんな・・・
気持ち?
独占?
一人占め?
まるで今のこのもやもやした気持ちに核心をついたような名前を知った瞬間
自分でも驚いて
部長の顔を見つめた。
私が好きなのは春坂先生ただ一人。
自信を持って言えるのに
じゃあ
なんのための
独占欲?
部長が優しい人だということは知ってる。
だけど、釣った魚にはエサどころか水の取り替えもしなさそうなこんな男を独占?
いやいや、その前に部長は
エサをあげるあげないに関わらず・・・
恋人がいるじゃん!
「森山・・・?」
変わらず不思議そうに私を見つめるその瞳。
「部長なんかっ・・・早く結婚しちゃえっ!!」
またしても、思ってもない言葉が口をつく。
「なんなんだお前はっ!!さっさと仕事するぞっっ!!」
怒りをかうのはごもっとも。
だけど、ようやく冷静になれた。
部長を独占したいんじゃない!!
部長にはいつまでも私と同じ穴の狢でいてほしいだけっ!!
それ以外にあるわけないっ!!
「早く仕事終わらせろよっ!!」
「言われなくても!!」