下手くそな恋を泣きながら
たかだか風船の行方なんて
子供じゃあるまいし
なんでこんなに気になるのか分からなかった。
だけど
まるで導かれているような
こっちにおいでって呼ばれているような
そんな気分だった。
ゴールデンウィークだから
この小さな繁華街も人通りが多い。
家族連れの人達
部活動のジャージを着てテニスラケットを手に友達とお喋りしながら歩いていく学生。
休日にスーツを着てビジネスバック片手に小走りで歩くサラリーマン。
たくさんの人達とすれ違いながら
まだ肌寒い風を肩で切って小さな通りを走っていくと
繁華街のアーケードを抜けたその少し先に大規模な公園の入り口が見える。
この公園も確かネットで見たような気がする。
風船はゆらゆらとその公園に下り立とうとしていた。
信号が青色に変わり
いつの間にか、何か理由のない期待感を胸に抱かせながら
風船を追いかけて公園にに入って行く頃には、体力も限界に達して、息をきらし立ち止まった。
風船は公園の中心部に向かって下りていく。
私は公園の入り口にある案内図を見て、その風船が落ちたであるだろう場所を確認した。
「池っぽいな・・・」
まあ・・・とんでる風船をゲットできるなんて、そこまでおもっていなかったし。
疲れたし。