下手くそな恋を泣きながら
冷静になった途端、さっきまでの気まずさは嘘のように、いつもの調子に戻った私は一目散にパソコンの電源を立ち上げる。
そんな私を見て、呆れたように笑う部長。
うん。
いつものこんな雰囲気が一番似合ってる。
「部長、そのスエットよれすぎ。新しいの買ったらどうですか?」
「うるさい。くだらないこと言ってないで仕事しろ。」
たまにこんなくだらない言い合いをしながら、気がつけば朝の光が差し込んでいた。
「もう、朝か・・・」
リビングの蛍光灯を消しても差し障りない。
時計は朝の7時をさしていた。
ようやく
「終わりましたー!!」
私の歓声が部屋に響くと、ほっとしたように笑う部長。
と、いっても部長がほとんど終わらせてくれた御蔭なんだけどね。
「部長、ありがとうございます」
「どういたしまして。お疲れ様だったな。」
お疲れ様。
その言葉を聞いて安心した瞬間、この数日の疲れと睡眠不足が大波のように押し寄せる。
「飯でも買いにいくか?」
そんな部長の声さえ子守唄のよう。
今にも閉じてしまいそうな瞼に力をいれるので精一杯すぎて返事もできやしない。
それに気づいた部長が「俺も眠いし、寝るか」そう言って、私の手を引いて寝室へと向かう。