下手くそな恋を泣きながら
迷い道
「森山、起きろ」
その声に呼ばれて目を覚ますと、隣でまだ目を覚ましたばかりの部長の姿があった。
一瞬、記憶が吹っ飛んでた私は、なんで部長と一緒に寝ているのか分からずに、慌てて飛び起き周りを見渡した。
けど、すぐに記憶が蘇る。
「ああ・・・そっか・・・仕事終わって・・・」
私が呟くと答えるように部長が寝室の窓の外を指差した。
「完璧、昼夜逆転だな」
窓の外はもう陽が沈み外は暗くなっている。
「でも、まだ土曜日。明日は休みだ。出掛けるか?」
部長の言葉に寝室の掛け時計を見ると午後7時。
たっぷり12時間近くも寝て、休日丸一日を無駄にしたことが分かった。
確かに、出掛けられるくらい余裕で眠気はスッキリしている。
「けど、こんな時間からどこにですか?夕飯でも食べに行きますか?」
肩を落としながらぼんやり掛け時計をミツメル私に部長はため息ひとつ返した。
「都会っ子はこれだから・・・」
「・・・都会っ子呼ばわりされるほどの都会になんか住んでたことないですよ。」
「星。星だよ。」
「星・・・?」
きょとんとする私に部長は微笑みながら頷いた。