男嫌いな女王様とクールな臣下
裏から回って、屋敷に入った。
すぐに、お手伝いのまさえがやって来た。

「まあ、久俊坊ちゃま。お戻りになられたのですか?」

「まさえさん、一時的にね。でも、すぐに帰るから」

家に上がって、まっすぐに彼の父親のいる部屋に向かう。

「そうは言わずに。少し旦那様のお相手してあげてください」
後からついてきたまさえが言う。

「ん、わかってるよ」

一階の奥まった和室に、前、金融担当大臣 鈴木誠一郎が新聞を広げながらくつろいでいた。


「珍しいじゃないか。自分からやってくるなんて」
すっかり部屋着に着替えてくつろいだ格好をしている。

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