男嫌いな女王様とクールな臣下

「はい。少しは、しおらしくなってるんじゃないかと思ってきたけど」

「お前も、わしが大人しくなった方がいいと思ってるのか?」

前野は父に笑いながら言う。

「人間、出来ることとできないことがありますからね。
父さんに黙ってろっていう方が間違ってるんでしょう。
でも、息子としてはこういう矢面には立て欲しくないと思ってますよ」


「まあいいや、お前、一杯どうだ?」
用意されたグラスを目の前に差し出された。


「それは、またの機会に。
今日はちょっと、話があって。
父さん、これからどうするか決めてる?」

たまには、膝を交えて付き合ってやらなくてはと前野は思ったが、今日は、どうにも時間がない。

「どうもならんだろう。どこに行くにも監視されてる」

「そうですか」
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