男嫌いな女王様とクールな臣下
「もう大丈夫か?」
もっとこうして抱いていてほしいけど。

「ええ」
朱音は気分を入れ替えた。
この人と過ごす未来のために。

「それじゃ行こう」

ちょうど、二人の前を横切って、宇月が一人で店に入っていくのが見えた。

前野は、朱音を先に行かせると自分は、少し離れて歩いた。

朱音は頷いて彼より先に行く。

「やあ、朱音さん。どうぞ、座ってください」


「はい、失礼します」


「どうですか?お決まりになりましたか?」

宇月は、朱音が自分のものになると確信してるみたいだった。

「ええ」余裕で笑いかけてる。

「では、結論は?」

「お断りさせていただきたいと思います」
朱音が丁寧に頭を下げる。

「断るだって?」

「はい」

「断ってどうするの?マンション建たないよ。それに、他に融資してくれるところでもあるの?」

「それは、これから探したいと思ってます」

「じゃあ、ツインタワーにする計画は諦めるんだね?」

「いいえ、諦めないわ」

「どういうこと?」


「どういうことって、それはこっちが聞きたいんですけど」

前野が間に入って来た。
朱音の横に座って、よく頑張ったと手を握りしめてる。

その様子を見て、宇月がぎょっとした。

「こんなところで何やってるんだよ。お前は、とっくに議員秘書辞めてどっかで働いてるんだろう?」

「ああ、この人の元で働いてるよ」

「一従業員が何い出すの。関係ないだろう?早く帰ってくれ」

「関係なくないわ。この人私の夫ですもの」
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