男嫌いな女王様とクールな臣下
「夫?なに言ってるの?君、結婚してるの?」
宇月が慌ててコーヒーのカップをひっくり返しようになった。
「ええ、黙っててごめんなさい。どうしても言い出せなくて、一緒に付いて来てもらったの。だから、婿養子は無理です」
朱音は、夫の分と二人分のおしぼりを差し出した。
「ブッ……婿養子なんて言いだしてたの?プライドも捨てて、熱心だね」
前野は、宇月の前で遠慮なく言う。
「うるさい。お、お前には関係ないだろう?」
「ずいぶんなものの言い方だねえ?自分の妻が迫られてるのに、関係なくはないでしょう?」
「知らなかったんだ。彼女が結婚してること」
前野は、自分の妻を引き寄せる。
「で?なに、俺の嫁に一目ぼれしちゃって、パパ使って結婚してくれって脅したって本当なの?」