男嫌いな女王様とクールな臣下
「これからは、この、前野久俊君が、お嬢様をお支えするメンバーの次の担い手として、我らの跡を継いでいただくことになりました」
「ちょっと、いったいなんのこと?」
「手っ取り早く言えば、このじいさんたちの跡をついで社長を支えるってことだ」
榎田が説明する。
「だって……」
「あのお嬢さまが、えげつない取引ができるわけないでしょう?」
と坂田が言う。
「水面下で、我らがやって来たことを引き継いでいただきたい」
内田副社長がニコッと笑う。
「いや、社長とか役員とか無理ですから」
前野が逃げようとする。
「嫌なら、変わってやろうか?お前に逃げられたって悲しんでるところを慰めてやれば受け入れてくれるかもしれん」そう言うと、榎田が面白そうに笑う。
「それでもいいかな。榎田でもいいと思ってるから俺」
常務が榎田を見て言う。
「ちょっと待ってくれ。おれは、そういう根回しみたいなことが嫌いだから普通のサラリーマンになったんだ」前野が否定した。
「わしらだって、普通のサラリーマンだぞ」
「そうだ」といくつも、反論が返ってくる。
「断ったら?」前野が影山に尋ねる。
「今日みたいなことが、頻繁に起こるだろうな。社長は、ある意味、真っすぐで心の優しい人ですから。裏取引なんて考えもしないでしょう」川崎専務が答える。
「ううっ……」
前野はうめいた。
「だから、ね。後ろで見守ってた方が楽ですよ。それは保証します」
影山が、新しいメンバーの肩を叩く。
「では、いいかな?」岩淵が音頭を取る。
「はい」
「内田副社長が、後継ぎが決まったなら、わしはさっさと引退してもいいなとおっしゃっています。ですから前野さん、あなたが新しい副社長です。おめでとうございます」
【完】
「ちょっと、いったいなんのこと?」
「手っ取り早く言えば、このじいさんたちの跡をついで社長を支えるってことだ」
榎田が説明する。
「だって……」
「あのお嬢さまが、えげつない取引ができるわけないでしょう?」
と坂田が言う。
「水面下で、我らがやって来たことを引き継いでいただきたい」
内田副社長がニコッと笑う。
「いや、社長とか役員とか無理ですから」
前野が逃げようとする。
「嫌なら、変わってやろうか?お前に逃げられたって悲しんでるところを慰めてやれば受け入れてくれるかもしれん」そう言うと、榎田が面白そうに笑う。
「それでもいいかな。榎田でもいいと思ってるから俺」
常務が榎田を見て言う。
「ちょっと待ってくれ。おれは、そういう根回しみたいなことが嫌いだから普通のサラリーマンになったんだ」前野が否定した。
「わしらだって、普通のサラリーマンだぞ」
「そうだ」といくつも、反論が返ってくる。
「断ったら?」前野が影山に尋ねる。
「今日みたいなことが、頻繁に起こるだろうな。社長は、ある意味、真っすぐで心の優しい人ですから。裏取引なんて考えもしないでしょう」川崎専務が答える。
「ううっ……」
前野はうめいた。
「だから、ね。後ろで見守ってた方が楽ですよ。それは保証します」
影山が、新しいメンバーの肩を叩く。
「では、いいかな?」岩淵が音頭を取る。
「はい」
「内田副社長が、後継ぎが決まったなら、わしはさっさと引退してもいいなとおっしゃっています。ですから前野さん、あなたが新しい副社長です。おめでとうございます」
【完】