男嫌いな女王様とクールな臣下

「式の準備は順調?」朱音はサラダをフォークでつつきながら言った。

「うん。当日どうするかって言う準備なら、順調よ。でも、どうしようかなって悩んでることはあるかな」

「何を悩んでるのよ」そうよ。
悩むくらいなら、式なんかやめなさいよ。

結婚だって、春妃は、直哉なんかにはもったいない。


「悩んでると言ったら、私の方は親戚も少ないし、式に呼ぶ人数も限られてるから、こじんまりしたいんだけど、彼の家の方はそうもいかなくて」

朱音がなんだ、そんなこと?
というように肩をすくめた。

「呼びたきゃ気のすむまで呼べばいいのよ。何なら学生時代の同級生全部呼ぶ?」

「朱音ったら。真面目に考えてよ」

「いいじゃないの。向こうが100人呼ぶんなら、こっちも芸能人でも財界人でも100人呼べば」
春妃が心配してることなんか、すぐに見抜いて対処してあげるのに、と朱音は思う。
何やってんだ。あの男は。

「あなたと話してると、楽しくて感覚がおかしくなるわね」
春妃が楽しそうに笑う。

「ドレスなんかも遠慮しないで、一流のデザイナーに仕立ててもらおうよ。すごく目立つやつ」
彼女に何度もそう言ってきたのに、普通のレンタルでいいという。

せめてそのくらいさせてくれればいいのに。

< 20 / 156 >

この作品をシェア

pagetop