男嫌いな女王様とクールな臣下
朱音は一呼吸おいて、無理やり笑顔を作った。

「それで?今日はどうしたの?結婚式のことについて、気になることでもあるの?」

春妃が会いにくる理由としては、式場の事でホテルに用でもあったのだろう。

そのついでに、同じビルで働いてる自分のところにも寄ったというのが、もっともらしい理由だなと朱音は思った。

ただ、ふらっと会いに来るなんて。

そんな理由で、春妃がやってくることがないってことは、朱音にもわかっていた。

知らないうちに小さなため息をつく。


朱音の表情に、ほんの少しだけ影が差したのを春妃は気付いたみたいに笑いかけた。。

「いいえ、違うのよ。今日あなたに会いに来たの。最近二人で会えなかったからどうにかしてあなたに会いたいと思って」

「そう」朱音は笑った。
少しでも不安になると、春妃はすぐに気付いてくれる。



春妃は本当に変わってない。

「わかったよ。そろそろ、本題に入ろうか?」
どんな理由であれ、彼女から頼られる人間でありたい。
朱音はそう思った。

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