男嫌いな女王様とクールな臣下
春妃が緊張気味に、一生懸命に答える。

「あのね、朱音。前野さんはとても優秀な技術者なの。
それなのに。うちの会社の上層部と上手くいかなくて。上との関係も相当わるくなっちゃって。
先日とうとう開発部から外されることになったの」

「そう」
朱音は興味なさそうに言う。

「そんなに優秀なら、どこにでも行先はあるでしょう」

朱音は、スープのカップを遠ざけた。

思い出した。そいつって、春妃の元カレじゃん。

自分が結婚するから、自分が反故にした相手を気にしようっていうの?

まさか。
春妃は、そんな人間じゃない。

そんなことを頼みに来る人間だったら、とうの昔に気が付いてる。

じゃあ、何だろう。

さては、春妃?
それで緊張してたんだね。

私に誤解されたくなかった。
少なくとも、そう取られたくないのは分かった。





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