男嫌いな女王様とクールな臣下
「失礼します」ドアがノックされ、顧問弁護士の榎田が入って来た。


「そうだ。お前は何をやってたんだ」
老人たちが口々に言う。

「何やってたって。横浜市のマンションに亀裂がはいいてるって当合わせがあって、確認に言ってますって、伝えてあるでしょう?」
老人たちの気も知らず、若者はこたえる。

榎田が用意した資料を6人に配った。

「榎田、お前いくつになる?」
榎田が急いでるのに、常務が無視して尋ねる。

「はあ?38ですが、何か?」
いきなりの質問で、榎田も驚いている。

「9つ上か」
合いの手のように誰かが言い出す。

「いいじゃないか。年上の方がいいぞ。あの気の強さだからな」

「うん、うん」
全員が一致してるのに。榎田当人に、まるでその気がない。

「なに言ってんですか。議題に入りますよ」

「弁護士だし。頭も切れるし。だいたいのことは分かっとるしな」
ため息とともに、川崎の意見にみんなが頷いた。

「そうだ、そうだ」影山も後押しした。
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