男嫌いな女王様とクールな臣下
彼が支えてくれるために、腕を伸ばしてくれたので素直に従った。
あれ?
朱音は、不思議な感覚に戸惑った。
熱があるせいかな。
こんなふうに感じたことがなかった。
彼に触れても、いつものような男性に対する違和感がない。
普通、ここまで男性に近づくと、拒否反応が酷くてダメだった。
朱音が拒否反応を起こさないのは、まだ一人前の男性とは言えない、子供だけだった。
「また、ふらつくといけないから、俺の腕につかまって」
「ええ、ありがとう」
言われた通り腕にしがみつく。
全然平気だ。
嘘みたいに、何ともない。
こんなにくっ付いてるのに、触れるのが嫌じゃないなんて。
朱音は、ギュッと彼の腕を自分の体に巻き付ける。
「大丈夫?」
「ええ……」