男嫌いな女王様とクールな臣下
「あんたには、関係ない」

黒髪で短髪の顧問弁護士が、苛立ちを押さえながら、朱音の肩に手をかけた。

呼びかけに応じて、彼女がすっと体を離した。


「前野さん、今日は一度もニュースを見ていないんですか?」

横にいた影山が小さな声で、弁護士に聞こえないようにつぶやいた。

「ここに来てからは、忙しくって」


朱音が、真面目な顔になって前野に向かって言う。

「久俊さん、落ち着くまで、しばらく会えないと思うけど。連絡だけはちゃんとしますから」

「どうやって連絡くれるの?」

「電話で。いつでも、つながるようにしておきます」

「わかった」

「朱音、行くぞ」弁護士が急かす。
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