男嫌いな女王様とクールな臣下

「おお、どうだった?」社長の川崎が声をかけた。


「堀田社長の発表内容は、とても素晴らしかったですよ」
それに、彼女はうっとりするほどきれいだった。


「そうだろう。それで?何か用か?」


「はい。申し訳ありませんが、2、3日お休みをいただきたいのですが」
いきなり休暇だって言われて、川崎は驚いた。

驚いて、すぐに不信感をあらわにした。

働き出してすぐに休みたいって、どういうことだ?

まさか辞めたいってことないな?

そんな声が聞こえてきそうだった。


「休みって、何で?」

お願いだから、話が違うとか言わないでね。

止めるなんて、言われたら困るから。

身内が問題を起こしてるなんて言ったら、詳しく聞かれてしまう。


「すみません急用ができたんです。急用と言っても、ずっと都内にいますから、どうしても私が必要な時は、電話で呼び出してください」

「えっと、それは構わないんだが。君の言ってる急用とは、君、個人のことなのかね?」
前野の上司が、心配そうに尋ねる。

「急用は個人的なものですが、休暇をいただくのは、会社の為というより、きっと社長の役に立つと思います」

「う~ん。よくわからんが、休みたいというのにいかんとは言えんだろう。そのかわり、ちゃんと報告するように」
絶対にダメだなんて言ったら、反発して止めるっていうかもしれない。

川崎は、何も言い返さない方が得策だと思った。

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