お見合いですか?
 「では、次回の試食はこれとこれでいきましょう。」そう言って周りを見回す。
どうやら、反対意見は無い様子。それを確認し、進行役をみた。

「次回からは、コンビニ側も交えての会議になるので、気を引き締めていきましょう。また、方向性が変わるかも知れませんが、宜しくお願いします。お疲れ様でした。」
 武尊食品の議長役の社員が、そう言って会議を終わらせた。
概ね、順調と言っていい。
これからが、本番だろう。
 会議は、午前中に終わった。

 「確か、開発課は2階だったっけ?」
エレベーターに乗り、2階のボタンを押した。
開発課のフロアの一角にある開発室と書かれた扉をノックし、そっと開ける。
中を覗いて見ると、数人しか居ない。
そっか、お昼休みか。
すると、私の気配に気付いた女の子が寄ってきた。
挨拶をして、「支社の森高ですが、藤堂さん、いますか?」と、訪ねた。

 しばらくして藤堂さんがやってきて、先ずは、お昼に誘ってみた。
本社近くのファミレスに入った。
何故なら、ここのファミレスは仕切りが高く半個室みたいだからだ。
 注文を済ませた後、早速聞いてみた。
「会長の後任って、藤堂さんですよね?」 
彼女は、少し困ったように微笑した。
「社長はね、そう思ってるみたい。」
 
 はぁ、やっぱりそういうことか、昨日の林さんの話と合わせて考えると、やっぱりこの会社には、派閥があるらしい。
社長派と会長派に別れているようだ。

 「会長は違う意見なんですか?」
「そうみたいね。」彼女は苦笑しながら言った。
それから、少し話して、最後に言った。
「子供を育てるなら、こっちがいいんですよね。」
後は、向こうの判断に任せる事にした。

 ファミレスをでた私達は、本社の工場に戻った。
「これ、私も試食していいんですか?」
そう聞くと、藤堂さんさんは、「勿論、森高さんの分も入ってます。」と言って新商品のサンプルを渡してくれた。

 元々、藤堂さんを訪ねたのは、明日の大手コンビニ用の新商品のサンプルを受け取るためだったのだ。
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