お見合いですか?
 気合いをいれて臨んだ大手コンビニの会議は、なかなかの高評価だった。
良かった~これで、当分プッレッシャーのかかる仕事から解放される。
しかも、明日はパーティーだ。
なんて思いながら大手コンビニの本社の廊下を歩いていた。
 少し前を歩いていた支社長が立ち止まった。
ん?と思い、私も数歩後ろで立ち止まる。
「悠斗?」と言う声がして、前を見た。
ぱっと綺麗に笑う女性が、「久しぶりですね~。」と言いながら、支社長の元に駆け寄って来るのが見えた。
 支社長も「久しぶりだなぁ。」と言いながら彼女に近づいた。

 どうやら、知り合いらしい。
しかも、かなり親密な。
なんかそんな感じがした。
根拠はない、女の勘だ。いや、間違えた。
格好付けました。
悠斗?って呼んだからだ。
普通、会社で下の名前呼ばないよねー。
わざとか?

 「支社長?そろそろ時間が・・・」
そう、私が言うと、その綺麗な女性は「じゃあ、また。」と言って、私にも会釈をして通り過ぎていった。
そこに、敵意は感じなかった。
単に、敵にもならないって感じかも?
うーん、それもどうなんだ?
まぁ、確かに今は上司と部下にしか見えないし、それでいいのか。
 
 「おいっ、森高、行くぞ。」
支社長に声をかけられて、目で追っていた彼女の姿が見えない事に気づいた。

 「あっ、はい。」慌てて、彼の後を追いかけた。

 彼の隣に並んで歩く。
前を見たまま言ってやった。
「余裕、 あったんですね。」
「はっ?何?」驚いてから、意味が解らないと言う顔をした。
その顔を横目で見てから立ち止まった。
彼も、立ち止まった。
お互いに向き合ったところで、少し微笑んで「こっちに来てから。」と言った。
彼が、目を見開いた。
何か言われる前に、スタスタと歩きだした。

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